2012.09.09

3.11 慟哭の記録

478851270X 3.11 慟哭の記録―71人が体感した大津波・原発・巨大地震
金菱 清
新曜社 2012-02-23

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大震災より1年半を前にして、やっと読み終わりました。東北学院大学金菱清准教授が編纂した、被災された71名の手記です。マスコミの取材文ではなく、研究者の論文でもありません。老若男女、いろいろな立場、さまざまな場所で実際に震災に遭った人たちの、言葉のかたまりです。

この本には写真が掲載されておらず、読者は文章のみで、その場面を想像しなければなりません。私のような、津波の被災地に入ったことのない者では、正直想像を絶するところがあります。
しかし、ギリギリの状況が比較的淡々とつづられており、かえって真に迫ります。いずれにせよ、体験者の言葉に勝てるものはない、、ということでしょうか。

2012.08.26

てらマンガ


うーむ、最近買うマンガ、こんなんばっかしだ。

『寺ガール』は、寺に生まれた三姉妹が、恋や跡取り問題に悩みつつセイシュンを謳歌するものがたり。

『お慕い申し上げます』は、欲望や嫉妬に日々苦しむ若い坊さんとお嫁さん候補と、その周囲たちのものがたり。

『住職系女子』は、ひょんなことから寺の跡取りとなった女性の、熱くも悩み多き毎日のものがたり。

うーむ、どれも悩みやら苦しみやらがテーマだな。

しかも、どれも女性向けマンガというのがステキだな。

私もお寺に生まれてお寺に育った身。いろいろ、言葉にならないものあるわけですけれど、そういうものが、ものの見事に簡潔なセリフとして登場してくるのを読むと、突かれたような気分になります。

2012.06.09

センダック氏ブラッドベリ氏死す

先月、そして今月と、名の知られた作家がふたり、相次いで亡くなっています。

 
5月8日、アメリカの絵本作家、モーリス・センダックが亡くなりました。83歳でした。
10年ほど昔、ある坊さんの研修会にて講師の先生が、「これが、世界でもっともすぐれた絵本です」と紹介されたのが、センダックの『かいじゅうたちのいるところ』でした。
そういうのに弱いワタシ(笑)は、もちろんさっそく購入し、ムスコズが寝るときに読み聞かせしていました。

お母さんにしかられた男の子が、いつの間にか冒険に旅立ち、怪獣たちと知り合って王さまになり、最後にまた家に帰ってくるというストーリーです。

4572002150 かいじゅうたちのいるところ
モーリス・センダック じんぐう てるお
冨山房 1975-12-05

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絵がね、ちょっと不気味ですばらしい。

 
そして6月6日、アメリカのSF作家、レイ・ブラッドベリが亡くなりました。91歳でした。
巨匠の一人ですよね。『華氏451度』が有名でしょうか。ワタシ的には、圧倒的にこれです。

4150401144 火星年代記 (ハヤカワ文庫 NV 114)
レイ・ブラッドベリ 小笠原 豊樹
早川書房 1976-03-14

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火星へ移住していく地球人たちの姿を描いた小説、、と言えるでしょうか。ひとつの長編として読めますが、独立した短編の集合体のようです。
怖くて切なくて悲しくて、とてもとてもワタシ好みです。

いちばん好きなのは、「空のあなたの道へ」。奴隷として働かされてきた黒人たちが、決意して集団で火星へ移住していこうとする話しです。短いので一気に読めます。
『火星年代記』には、アメリカ社会への風刺が色濃くあると言われていますが、それがいちばんわかりやすい形で出てきている物語かと思います。

2012.05.20

マンガで考えさせられる・・

マジメな本の傍ら、このところちょっとマンガ読んでます。

『家栽の人』は、若いころからかなり気になっていた作品で、このたびやっと文庫で揃いました。片岡鶴太郎さん主演でTV化もされたそうですね。家庭裁判所の裁判官(判事)が主人公の人間ドラマです。
その主人公は非常に優秀なのですが、けっこう型破り。といっても、みずから悪い世界に踏み行って、、というわけではありません。とにかくマイペースで自分の世界を守りつつ、しかも裁判に関わる人たち(原告も被告も関係なく)をうまく巻き込んで、それぞれをより良い方向に向けるにはどうすればいいか心を砕いている、、という人のようです。
植物に造詣が深く、人に語るときも、植物の成長の仕方を例にとったりしています。そこから題名に、家「裁」ではなく家「栽」の漢字が採られたのでしょう。

主人公が穏やかな分、周囲はかなり濃いキャラが配置されていますね。とくに、全10巻のうち、最後の2巻全部を費やした話しが圧巻です。フリョーな中学生が教師から受けた体罰に対する損害賠償裁判をめぐって、教育とはなんなのだろうか、、と問いかけているようなエピソードです。もちろん、単なるハッピーエンドではありません。
教育を題材にしたのには、『鈴木先生』というこれまたえぐいマンガもありますね。こちらは中学校教師が主人公。そして、どちらも傑作ですね。

 
そして『お慕い申し上げます』
これはあるところで書評を見て即買い(笑)
29歳の、イケメンなお坊さんが主人公です。彼はカノジョ持ちですが、有名な元女子マラソン選手とお見合いをします。
ところが「自分は坊さんとして結婚しない」と宣言し、その話しをいちど断るのです。それでも彼女は主人公に好意を抱いているようではあり、お互い非常に意識し合う仲となります。
彼女は、自身が持つ深いねたみの感情に悩まされており、主人公を通じて、仏教に救いを求めたいと思っているのですね。わかりやすく解説されているとはいえ、けっこう仏教の専門用語が飛び交うマンガ。主人公の、自分の欲望に悶々とする姿の見せ方も、それだけで終わらせようとせず、この先どう展開していくのかとても楽しみな作品です。『家栽の人』ほどではないにせよ、考えさせられます。
以前ネタにした『寺ガール』とは、お寺が舞台ということだけが共通で、あとはまあ、真逆と言っていいでしょうね。どちらも魅力あります。

ちなみに次は、沢尻エリカ主演で話題になっている、『ヘルタースケルター』が順番を待ってくれています(笑)
作者の岡崎京子は、事故に遭ってもうマンガ描けないのですよね。岡崎の作品はまったく読んだことがないんですが、ずっと気になる人ではありました。映画化の話題が出て、ついつい勢いで買ってしまいました。。

2012.01.22

寺ガール


あはは、ひさびさにマンガ買っちゃった。しかも新刊なり。
集英社の月刊誌『Cookie』に連載される、水沢めぐみさんの作品。なんともストレートなタイトルですな。お寺に生まれた三姉妹が、悩んだりずっこけたりして過ごす日々を描いた物語です。
話しの展開としては私の想像を超えるものなのですが、底に流れるものはけっこうベタで、かなりユルいめかな。ユルさで言えば、『聖おにいさん』といい勝負かしら。でも、『おにいさん』は、、じつはちょっと苦手なんだよね。
なぜなのだろうか、ユルさの中身が違うのかな。『おにいさん』は、そのユルさが勝負のポイントなんだろうけど、そういう意味では『寺ガール』は違うのだろうね。
お寺に生まれたことがイヤで、でもお寺で生きていることを愛してしまう。少女マンガってホント良いねー(笑)

2011.12.02

SFを読む


写真の4作品、いずれもSFの名作として名高いものばかりかと思います。
このところ、1号がこういうのを読み始めて、今は『幼年期の終わり』にかかっています。
『2001年宇宙の旅』で知られる、SFの大家クラークの作品ですね。人類の進化と、それを見守る超越的な存在、、って感じでしょうか。壮大な物語です。
その前に読んでいたのは『夏への扉』
タイムマシンものですね。時間を飛びこえて追いかけっこをするのは、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を彷彿とさせます。
ハインラインも大家、、そしてクラークよりも読みやすいのかな。これが好きなSFファンって多いと聞きましたが、たしかにそう思える、ロマンチックな小説ですね。
その前に読んでいたのが『火星年代記』
これは、、なんていうか、、怖くて切ない、、かな。火星へ続々と移住する地球人と、それを迎える火星人との交流の話です。
これ私大好きです。考えさせられてほろ苦くて、ちょっとオトナ向き。1号はこれより『夏への扉』がおもしろかったようですが、それもむべなるかなであります。
オトナ向きといえば、、『ソラリスの陽のもとに』でしょうか。これはまだうちの子は読んでいません。
私も二十歳過ぎてからです、これ読んだのは。素人の私が言うのもナンですが、、まあ、金字塔ですよね。映画(タルコフスキーの方ね)も有名ですばらしいし。
まず、知的生命体である「海」という発想がものすごい。その「海」による、想像を絶するコミュニケーションによって狂わされていく人間の、壮絶な話であります。

2011.11.25

『呪われた町』ふたたび

呪われた町 (上) (集英社文庫) 呪われた町 (下) (集英社文庫)
なんだか知らないうちに復刊されていました。スティーヴン・キングの初期の傑作『呪われた町』であります。
1974年デビュー以来、ホラーの巨匠としてアメリカ文学界に、一定の地位を築きつづけるキング氏。この作品を高く評価するファンは多いと思いますね。
内容はぶっちゃけ言えば、「吸血鬼の小説」です。なんとも古典的なテーマだとお思いでしょうが、キング氏の手にかかると、これがまたホント怖いのですよね。
と言っても、伝統の設定を外したものではまったくありません。アメリカの田舎町に、正体を隠した吸血鬼がやってきて、町の人をどんどん仲間に引き入れ、侵略に気づいた他の人たちが勇気をふりしぼって対決する、、という王道な話しかと思います。
 
私もちろん旧版で読んでますけれど、そそられて買ってしまいます。パラパラとめくってみたら、やっぱりおもしろくて、ページを繰る手が止まらない状態になってしまいますね(笑)
個人的にもキングの怖い三大小説のひとつだと確信しています。(あと二つは『シャイニング』と『ペット・セマタリー』。とくに『シャイニング』は『IT』と並んでキング最高傑作かと)
キング氏もあまりに多作なんで、興味を持っても、いったいどれから読めば良いんだ、、と思われる方もおられるでしょうね。
映画で有名な『スタンド・バイ・ミー』とか『ショーシャンク(の原作)』などは読みやすいですが、もっと違う色のものを、、と思われたら、いよいよこういう怖いヤツに当たってみて下さいな。

2011.10.30

みんなの寺の作り方

4844135732 みんなの寺の作り方―檀家ゼロからでもお寺ができた!
天野 和公
雷鳥社 2011-10

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仙台で「みんなの寺」というお寺をなさっている、天野さんご夫婦の、奥さまである天野和公さんが出版された2冊目の本です。副題通り、檀家ゼロから始まって、苦労されつつ周囲の信頼を得ていかれるお姿を垣間見ることができます。
そういえば3年前、ご出版1冊目のときも記事にしていました( → こちら)。その中で私は、
「宗派も違い、またお寺の成り立ちも違うため、外見ではそんなに共通点がないのかも知れないのですが、坊さんであることへの真摯な態度とか、檀家さんや地域で信頼されるお寺の姿とか、夫婦の関係であるとか、、私が見習わなくてはならないことが山ほど隠れているような気がしています」
と書いておりますが、今に至ってもおなじ思いです。
 
本の冒頭、いきなり和公さんは「わざわざ苦労して新しくお寺を作らなくても、こんな方法で、在家から坊さんとして生きていけますよ」という紹介から入っておられます。
これがまた、このご夫婦の、とてもバランスの取れた立ち位置を表しているようで感心します。
何はなくとも、まずは「仏教が好きという熱意、人の役に立てて嬉しいという喜び、お釈迦さまの弟子であるという自負」がたいせつなのであって、何か他と違うことで目立ってやろうとか、既存の権威に挑戦するオレってカッコいいというナルな野郎になってはいけない、という姿勢を見せておられると思うのですね。
そういうわけか(?)、みんなの寺さんは、名前もインパクト大で成り立ちもドラマチックですが、日々やっておられることは、いわゆる檀家寺のそれかと思います。その意味では、おなじ檀家寺の住職である私にも、とても勇気を与えてくれるものであります。
このお寺が成功した要因として、和公さんは、ご住職である雅亮さんの下積みを語っておられます。そしておそらく、その下積み経験がうまく伝わっていく縁を得ていかれたということなのでしょう。
なによりも、雅亮さんの「法務(檀務)好き」がよくわかって、なるほど、これだけなら私でもなんとか真似しようと思えるものかな、、と。
将来、みんなの寺さんも、後継者に道を譲るときが来ることでしょう。ふたごの息子さんの、どちらかが継がれるのか、それとも娘さんか、それとも他から来た人が継がれるのか。新しく始めることと、次世代がそれを維持していくことはおなじくらい難しいことだと聞きます。
おなじふたごの親としても興味深く、そのお姿に学んでいきたいと思っております。

2011.10.27

なぜ意思の力はあてにならないのか

仏教、とくに禅あたりでは「身心・・欲望を整える」ことを説きますが、これがじつに困難であろうことは、みなさまもかんたんにご想像がつかれると思います。
そんな中、この刺激的なタイトルの本を手に取り、とてもおもしろく、また示唆に富む内容にうんうんとうなずいておりました。

4757142641 なぜ意志の力はあてにならないのか―自己コントロールの文化史
ダニエル・アクスト 吉田 利子
エヌティティ出版 2011-08-09

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著者は心理学者ではなく、ジャーナリスト・エッセイストと紹介されています。その加減か、いろんな実験データを紹介してはいますが、述べているのはそこから得た感想と意見、、という感じで、綿密な論文というものではありません。
しかしながら、古き良き、節度あったアメリカが、どうしてこんなにも悪しき消費社会となってしまったのかを憂い、その理由と対策をまじめに考えてみようという態度の書きようであり、こちらも勉強になりました。
その理由として著者は、経済や技術の繁栄がもたらした豊かさが、元来持っていた私たちの文化や習慣を追い越してしまい、結果「自己コントロール力」を失ってきたことを挙げています。
そしてそのコントロールの喪失とは、今この瞬間が楽しければOKで、そのために起こる将来に、思いが至らないこととも指摘しています。
コントロール力の差は、たとえばIQが変わらないのに学校の成績が違ってきたり、ダラダラとゲームやインターネットから離れられなかったり、といったところに現れてくるそうで。私もヒヤッといたしますね・・。
その対策としては、自分が自分をコントロールできる、、と過信しないことにあるようです。意志の力をあてにせず、悪い習慣をもたらす環境を変え、良い習慣を持てということのようです。
我田引水になってしまって恐縮ですが、、仏教でも、環境を整えることを重視していると思います。また、自分を過信せず、いつも冷静に見ていられるようにすることも、禅に近い態度であろうと思いますね。

2011.08.23

続ガンダムOrigin読んでます

今日は兼務寺でのご葬儀でした。いまは葬儀当日に初七日を行うことがあたりまえになってきて、その時間待ちを、およそ1時間あまりすることがあります。
いつもは、本を読んだりして待っているのですが、今日はアラームをセットして控え室で爆睡しておりました。こんな経験初めてです。いやいや、前記事に引き続いて弱音を言って申し訳ないんですが、、このところ毎日くたくたです・・。
しかしまあ、そんな中、ガンダムの漫画読んで英気を養ったりもしております(笑)
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いわゆる初代ガンダムを、あらためて漫画化した作品。アニメのときは、、私は中学生か。ああ、懐かしいなあ。
ガンダムに先立つヤマトでも、敵味方のそれぞれ内部で確執があったりしたと思いますが、ガンダムはさらに推し進めておもしろくなってます。上官への反抗、脱走、裏切り、仲違い、嫉妬、クーデター、そんなのがいっぱい詰まっています。
恋バナもかなりありますけど、あんまりひねりはないかな。でも、こういうベタなのが、じつはリアルに近かったりするのだろうか(ホントかな-笑)
 
ところで、ガンダムの重要なキーワードに「ニュータイプ」というものが出てきます。話内でも「エスパー」と例えられていますし、それでなんとなくのイメージをつかんでいただけるのではないかと思います。
もともと「ニュータイプ」は人類の進化形ととらえられ、その人種はお互いに深い洞察と共感を得られる(アムロとララアのふれあいのように)ため、完全に戦争のない平和な世界がもたらすことが可能だと考えられていたようです。
ところが「ニュータイプ」は、その超人的な能力ゆえに、戦争においてもとくべつに優秀な(「アムロは、私たちとは違うのよ・・」というフラウのセリフのように)兵士として期待されてしまう葛藤があるわけですね。
シャアはそこらへん完全に割り切って、自らのニュータイプ能力によって戦争に勝ち、ニュータイプによる理想郷を作ろうとします。シャアは、エリートと雑草の両方を兼ねそなえた、ホント強いキャラですよね。
アムロはそこらへん、、割り切れないのでしょうか。ニュータイプ能力としてはシャアを圧倒しながらも、その力をもてあましてしまうもったいなさも感じます。
 
コミックスはまだ未完。あと1巻くらいで終わりかな。今年中には出版されることを願って、じゃあ、明日も「行きまーす!」

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