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2008.12.17

たら本 第47回「この作品をこの人の声で聴きたい」


ごぶさたしておりますたら本参加です。
主催は慧さんです。こちらもごぶさたいたしております。
今回はお題のとおり、作品を選んで、しかも、それをどなたに読んでいただくか、、まで考えねばなりません。
うーん、でも、ある程度誰でもご存じの方でないといけないですよね。うちのとなりに住むおばちゃん、、なんて書いても「誰やねんそれ!」 この前テレビで見た、うちの弟に似てるおっさん、、なんて書いても「だから誰やねん!」ですしね(笑)
さてさて、そんなうわごとは放っておきまして作品選びでありますが、ここはやはり慧さんに敬意を表してキングさんで。


ドラゴンの眼〈上〉 ドラゴンの眼〈下〉
まずは『ドラゴンの眼』 吉永小百合さんの声がいいですね。
キングが、愛娘ナオミのために書いたファンタジー小説です。小学校高学年以上くらいかな。
主な登場人物は、平凡な国王・ローランドと才能豊かな長男ピーター、愚鈍な次男トマス。そして、王国を陰から支配しようとする魔術師フラッグ。
まんまとローランドを毒殺した魔術師は、さらにピーターを罠にはめ、トマスを王に据えて自らの権力を強大なものにしていきます。フラッグは、ほかのキング作品にも顔を出す定番の悪役。情けなどまったくなく、徹底して悪なのがいいですね。『指輪物語』のサウロンのように、「悪」を具現化したものでしょう。
児童書、、ですが、大人にもじゅうぶん通用する物語です。吉永さんの艶のある声でひとつお願いします。
また、これはハードカバーで、装丁も美しい。手に取ってわくわくする本です。。
 
さてお次は
スケルトン・クルー〈2〉神々のワード・プロセッサ (扶桑社ミステリー)
この短編集所収の『しなやかな銃弾のバラード』を、片岡鶴太郎さんの声で。
作家夫婦と著作権代理人夫婦に、ある初老の雑誌編集者が語って聴かせる、切ない狂気の物語。キングの短編(中編?)の中ではいちばん好きです。
編集者が若いころ、ある有能な作家を担当しました。ところがその作家はいっぷう変わっていて、電化製品や電話を毛嫌いし、訪問者に対し異常な警戒心を持っていました。というのは、作家は、自分のタイプライターに妖精が住んでいると信じ、周りの者はその妖精を殺そうと企んでいると思い込んでいたのです。
妖精が殺されると小説が書けなくなるという恐怖にかられ、奇行をくりかえす作家。アル中の編集者も作家の狂気につられ、妖精の実在を感じはじめます。
2人の、周囲に対する不信はピークに達し、そして、、ついに取り返しのつかない事件が起こります。。
ほとんどがセリフなので、鶴太郎さんのテンポいい語りで聴かせて欲しいです。
 
そして最後に
第四解剖室 (新潮文庫)
この短編集所収の『黒いスーツの男』を、寺尾聰さんの声で
これはけっこうコワいですよ。
ある老人が、子どものころに出会った恐怖の体験を語る物語です。
あるとき、1人で森の中の川へ釣りに行った彼はその最中に寝込んでしまいます。
目が覚めた彼は、そこに、ある長身の男が立っているのを見ます。森には似つかわしくないスーツを着込んだその男。男の目はすべてが橙色で、体中からは硫黄の強烈な匂いを放ち、穏やかな調子で少年の母親の死まで予言します。
少年は瞬時に悟ります。男が悪魔であることを。そしていま、自分を食べようとしている悪魔を目の前にして、誰の助けも望めない森の奥にいることを。。
寺尾さんの声で親しげに語りかける悪魔、、って、なんか良さそうぢゃないですか。

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たらいまわし・本のTB企画 第47回「この作品をこの人の声で聴きたい」

たらいまわし・本のTB企画 
第47回がやってきました
「時々、読書感想文」の
菊花さんから
白羽の矢がグッサリ刺さった
『たらいまわし・本の…

おおお!!
ありがとう 全部キング キ~~ン~~~グ~~~~ででで~~す
キング尽くしでラインナップしていただいて
そして結構意外なコラボ
キングをこの方たちに読んでもらうって
なんて贅沢なんでしょう
キングのセリフ あのキングのセリフもももも
想像しただけで うれしくなっちゃいます
ありがとう
朗読中の彼らの様子を思い浮かべるだけでも
十分楽しめそう♪

第47回たら本 この作品をこの人の声で聴きたい

早いもので今年も後20日。 師走の感覚があまりなく、大掃除も年賀状の準備もしていません。 さて、今年最後のたら本が開催です。 過去のたら本はこち…

全部キング!(笑) 第四解剖室は昨年読んだような・・・。黒いスーツの男、印象的な話でしたね。キングの話って子どもの頃に感じたわけもなく怖い気持ちを呼び覚ましてくれます。うんうん、寺尾さんの悪魔声聞いてみたいです。
私今はホラー大好きで全然平気なんですけれど、子どもの頃はものすごく怖がりだったんですよ。なのでキングに出てくる子ども達の気持ちはよくわかります。

慧さんありがとうございます
そして主催おつかれさまです!
いや、だって慧さんならば、これはある意味お約束ということで(笑)
ホントはもっと長編を選んでも良かったのですが、読む方のご苦労を鑑みて短めのにしました。
意外なコラボでしょうか。overQさんがキングを落語家に読ませたいとおっしゃってますね。それにはかなわないかなあ(笑)

risaさんありがとうございます
『第四解剖室』は、たしかにrisaさんが以前言及されていたのを思い出して入れたのです。
黒いスーツの男は怖くておもしろいですよね。伊武雅刀さんとどちらにしようかな、、と思ったのですが、寺尾さんのほうが怖そうなので。。
risaさんはホラー大好きなんですね。私は今も怖がりで、小説は大丈夫なんですが、怖い映画はダメです(笑)
あと、夜の墓地もダメです、坊さんだけど(苦笑)

キング作品は、声の達人たちに朗読してもらうと、ほんと、味わい深そうですよね。
キングの文章は、朗読と、本質的にシンクロする部分があるのはまちがいないのですが、
それが何なのかは完全にはわからないです。。
「黒いスーツの男」
キングの中でもとりわけ文学性が高く、解読しきれない象徴性をはらむ傑作!
精神分析的な読解で、ある程度までは読み解けるのですが、
かえって謎がくっきりするところがあって、異様な迫力があります。
寺尾聰さんの微妙に安定と不安定、老いと若さが交錯する声は、まさにうってつけですね!
私は渓流釣りをするので、この作品で描かれている感じが何となくわかります。
渓流釣りって、胎内回帰の暗喩があるって、言われる。
奥深い山は女性器を暗示していて、細々と奥から流れる川をたどるのは、
生を逆に遡行している、と。
山の神は昔から女性(母=山姥)なんです。
実際、一人で山の中に釣りにいくと、何とも言えない不気味さ
…とともに懐かしさのようなものもある。
魚を夢中で追ううち、
「このまま事故か何かで死んじゃっても、
誰も気づかないだろうな」とふと思ったりするのですが、
どこかそれはそれでもまあいいような気持ちもしている(笑)
ふつうではちょっと起こり得ないようなことに遭遇しても
(そして、実際、なぜか遭遇するものなんですが)、
妙に当たり前のような感じで受け入れてしまったり。
死が、恐怖であると同時に、郷愁でもあるような。
日常とへだてているものの境界がゆるくなる。
「川がふたつにわかれている場所」なわけです。
この作品でも、黒いスーツの男の、パックリ開いた赤い口や
硫黄の匂いは、女性器と通じるイメージを持つように思います。
教会に行かなくなった母は、父(生)の側から離れて、
黒いスーツの男のほうへただよいつつある。
ハチに刺されて死んだ兄は、
まさに死ぬことによって、より母(の暗黒面)に深く愛されているんです。
母は神を裏切ってでも、死んだ兄を愛するのだから。
「わたし」は、兄になりたいんですが、
しかし、それは死であるということでは、兄になりたくない。
「わたし」から見た父の立ち位置も微妙で、
それはキング作品すべてに共通することなんですが、
兄にとっては、母をとりあう敵であり、
死によって父に勝ち、同時に負けている。
兄と「わたし」は、ほんとは同一人物で、
母の愛の独占において、父に負けた(勝った)ことの
モニュメントになっているんです。
それは、しかし、まさに墓標としてのモニュメント。
…そういうような方向で、精神分析的な解釈ができるんだけど、
何となく収まりが悪い(笑)
それが、キングの傑作が持つ、大きな特質だと思います。
村上春樹がこの作品の作者であれば、
ノーベル文学賞がさらに射程に入ってくるところですw
でも、いったん「ホラー作家」の肩書きを得てしまうと、
すごいものを書いても、なかなかメインストリームで
王冠を勝ち得られない…というような人間社会の運命のことも、
今ちょっと頭をかすめました( ;∀;)

overQさんありがとうございます
「黒いスーツの男」に出てくるこの親子は、私にとってはなにか理想に近い関係だと思えるのですよね。
しかしながら、その理想の裏にあるのが、兄を失ったことや、こういう死に近いような恐怖であったりとかするのが、こういうoverQさんのコメントを読ませてもらってなんだかさらに示唆的です。
男は大きな魚を丸呑みしますが、これはたしかにエロチックな象徴に思えますね。
おっしゃるように、出会う場所が山奥の川なのがまた思わせぶりです。
そして、釣りをされるなら、この恐怖はさらに実感されるでしょうね!
私、高校の時ワンゲル部だったんです。2年生の時、1人で北山歩いて泊まってきたんですよね。山奥へ入っていく感覚を、非常に強い印象で覚えていますが、似たような感じかな・・。
キングは自作を朗読しますが、YouTubeで見ると、なんだかすごい高い声で早口ですよね。寺尾さんとは真逆なのですが、アメリカ人と日本人の感覚はちがうのかな。。
この作品は「O・ヘンリ賞」を受賞(調べてみると、けっこうそうそうたる人たちが受けてますね・・)していますが、これはキングにとってはなかなか画期的なことでは?
おっしゃるようにメインストリームで勝負できない作風が多いので、こういう評価はファンとしては単純にうれしいです。

たら本47 「この作品をこの人の声で聴きたい」

たら本。まずは、ちょいとお知らせから。
「たら本データベース」をリニューアルしていただきましたヽ(´ー`)ノ
宣伝サイトも作っていただいております。素敵!…