20世紀少年
- スティーヴン・キング | 映画のこと | 読書のこと
- 2008年10月 8日 15:03

見ましたー、映画でー。
いちおう原作を先に読んでるので、かなり安心して見てました。原作はホントおもしろくて引きこまれるけど、映画になってどうだー? ってとこでしょうか。しかしなんとも豪華な豪華な出演者陣。その顔を見に行くだけでも、まあいいかもですね。
映画公式サイト、こちらです。
20世紀末。主人公遠藤ケンヂ(映画は唐沢寿明)は、ロックミュージシャンの夢をあきらめた、今はしがないコンビニ店長。
子どものころ、彼は仲の良い友人たちと原っぱに「秘密基地」を作り、毎日そこで遊んでいた。大人になったケンヂのまわりでは、不可解な失踪や殺人が相次ぐが、そこにはあるカルト教団の存在が見え隠れする。その教祖"ともだち"の、指と目をあしらったデザインのシンボルは、なんとケンヂたちが「秘密基地」で考えたものとまったくいっしょ。さらに、おなじシンボルを持つ政党「友民党」が圧倒的支持で日本の政権を握る。
そして、爆破テロや細菌テロを思わせる事件が世界を席巻しはじめた。それは、かつてケンヂたちが秘密基地で考えた、世界征服のシナリオをそっくりなぞるものだった・・
・・というストーリー。"ともだち"は誰なのか、、あのときいっしょに遊んだ仲間なのか、、という謎解きがスリリングですね。
では、以下は原作をふくめて長文ネタバレ記事になります。未見・未読でこれからご覧になろうという方は、どうかご注意を・・。"ともだち"の正体にも言及しますので・・。
原作は、、、かなりスティーヴン・キングの影響が見えます(笑)
子どものころの仲間が大人になって再び集まり、悪に立ち向かう話しは『IT』
ウィルスでの人類絶滅。生き残りによる、悪の組織に対するレジスタンス的な話しは『ザ・スタンド』
どうも、この2作が骨格ですね。
また、作中には『図書館警察』も登場していますし、オッチョ脱獄のくだりは『刑務所のリタ・ヘイワース』(ショーシャンクの原作)を彷彿とさせます。
基本ネタである、カルト教団による細菌テロは、サリン事件をベースにしているのでしょうが、話しの基本線や音楽の扱いなど、これはキングへのオマージュとも取れそうで、キングも浦沢も好きな私としてはうれしい限りです。
書評では前半サイコー、後半ダラダラ、、という批評が目立ちます。たしかに読み進める牽引力が「"ともだち"って誰なんだ!」という謎ですから、"ともだち"の正体「初代"ともだち"がフクベエ」(←ホントに見てもいい人だけ反転してね)がわかってしまってからは、その勢いが失速しがちなのはやむを得ないところでしょう。
映画では、その点をこれからどうやって克服していくか興味ありマス。
ただ、どこかで読んだのですが、浦沢は「これは、"ともだち"が誰か、、を探る物語ではない」という趣旨の発言をしているようです。
それを聞いて思ったのは、この作品を通じて浦沢が言いたいこととは、ケンヂがくり返し言い、仲間もケンヂの名言として頻繁に引用する、「自分の命が危ないと思ったら、一目散に逃げろ。みんな死なないでくれ」っていう台詞なのかな、、と。
別のところでは、「僕らくらい世代(浦沢は1960年生まれ)に氾濫する『懐かしいもの』が、後ろ向きでいやだ」と発言しています。「未来があるから過去をちゃんと押さえて、先へ......」とも言っていますが、そのためには、死なないで生き続けなければいけないですよね。こういうところには、私もすごく共感します。
全話を通していちばん好きなエピソードに、マルオが「ともだち本部」に入り込み、"ともだち"のいる隣の部屋で、自分の体に巻き付けたダイナマイトで自爆しようとしたことを思いとどまる話しがあります。ここにも、浦沢の言いたいことがつまっているように思えます。
また、少年時代の"ともだち"が、プライドの高さゆえに孤立感を深めていく過程は、なんだか憎めなくて気の毒にすら思うし、最後の方、"ともだち"(2代目"ともだち"のカツマタくん)とケンヂとのやりとりはきっと切なく思う大人もいるんじゃないかな (← 私)
そんな"ともだち"がカルト教団の教祖になっていく流れはわかるのだけど、欲を言うなら、もーっと教団初期のうねりみたいなのが見てみたかったなあ。ある優秀な警察官が、どんなきっかけで"ともだち"に心酔し、組織や同僚を裏切るようになっていったかという話しもあります。でも、ちょーっとさらっとしすぎて、本当はもっとどろどろが隠れているだろうに・・と思ってしまうのですね。
さてさて、映画は浦沢本人が脚本にも参加しているようで、話しの登場順にシャッフルはありますが、ひとつひとつはかなり原作に忠実ですね。俳優さんも、いかに原作を意識しつつ自分を出して行くかを模索されているよう。
まだ3部作の1作目。キーとなるキャラ、ケンヂの姪カンナも出てきません。導入部といった感じで、1作目だけではおもしろさもわからないでしょう。
原作には「お化け屋敷」的なオカルト風味もたくさんあって、それが大きな魅力なんですが、映画では、、なかなか難しいかな。"ともだち"のかぶる「忍者ハットリくんお面」が、実写で出てくるとどうしてもチープに見えちゃうしね。
その分、これからの俳優さんたちの演技に期待しちゃいますね。この話は群像劇ですし、主要メンバーの誰もが主役となるエピソードでつまっています。とくに、"ともだち"を演じることになる「初代"ともだち"=フクベエ=佐々木蔵之介」さんにはがんばってほしいなー。
あ、でも"ともだち"の解釈(正体?)は原作と変える、、というウワサもあるな。私はヘタに変えない方がいいと思うけど・・。