罪と罰
- 読書のこと
- 2009年2月 9日 21:05
えーと、ドストエフスキー作品です。
ううーん、しかし『罪と罰』なんて、、それだけで恐れ入ってしまうタイトルですよね。タイトル負けしてしまう方も、もしかしたらいらっしゃるんじゃないかしら。。
・・などと余計な心配もしつつページをめくっていったわけですが、これがまたおもしろくておもしろくて止まりません。
主人公はラスコーリニコフという元学生。彼はかなり頭が良く弁も立つ、母親や妹のことをつねに心配する優しい男です。しかし、神経質な面が目立ち、他人に対しては不遜で傲慢な態度を見せて反感を買いやすいタイプのようです。
話は、そのラスコーリニコフが、強欲な悪徳金貸しの老婆(と、その善良な妹)を殺害する事件が軸となっています。
読者は犯人がわかっていますので、殺人による達成感と後悔の相反する感情が真に迫ってきます。「コロンボ」や、「古畑任三郎」とおなじ見せ方です。
とくにラスコーリニコフと、彼を犯人だとにらむ敏腕判事ポルフィーリイとの丁々発止の対話は、物語中いちばんスリリングな場面ですね。ヘタな推理小説なんて吹っ飛んでしまいますよ。
また、もちろんすべての登場人物がひと癖ある者ばかり。ラスコーリニコフの妹ドゥーニャと、彼女に邪な好意を寄せる女たらしスヴィドリガイロフとの、最後のやりとりなんて震えがきちゃうくらい。ヘタな恋愛小説なんて吹っ飛んでしまいますよ。
ラスコーリニコフという人間をどう思うか、、というのは人によって違うでしょうか。私は、その激しやすい性格に正直ちょっとイライラしてしまいますね。
生きていては周囲に害になるばかりの老婆を殺すのは、選ばれた人間にとっては罪とならない、、とのリクツは、たとえば『デスノート』や、オウム真理教における「ポア」の理論につながる、決して許されない行為ですし。作家の平野啓一郎が新聞のインタビューで、「殺された被害者の家族や知人の悲しみが出てこないところに物足りなさを感じる。ここには殺すなというメッセージがない」と語っていましたが、それはたしかに言えていると感じました。
ただ、大きな動機のひとつでもある貧困に関しては、今の時代を見てもやりきれない思いで見てしまいます。


