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読書のこと Archive

また禅とジャズと・・

先日、坂本龍一が進行を務める音楽番組「スコラ」の集中再放送があって、今度はちゃんと録画してざーっと見ました。

その中ではえーと、、ジャズ編が圧倒的に楽しくておもしろかった(笑)
黒人音楽と白人音楽がアメリカで融合してできたジャズ。そのなんたるかを語るとき、坂本がゲストの山下洋輔のプレイを、「左手がヨーロッパ音楽で右手がアフリカ音楽」と評したたとえがなんとも魅力的でありました。

ジャズ演奏のポイントのひとつに、「コール・アンド・レスポンス」というものがあるそうです。ソロとバックで、ひとつのフレーズを掛け合いしていくものです。楽器によるシュプレヒコールみたいなものでしょうね。
で、バックがきちんと基本をキープしていれば、ソロイストは安心してソロしまくれる、、という構造となっているようです。

 
ジャズの即興と、じつは禅の問答とを絡ませるのがけっこう好みで、、今までに何度かネタにしておりましたが、この番組を見て、やっぱりそう思いました(笑)
どちらも生身の人間が、自分の信念を携えてぶつかり合う姿と言えますね。

駒澤大の石井清純教授の著書『禅問答入門』には

禅問答は、同じ質問に対しても、時と場所、人が違えば答えも変わってきます。

とか

このような個性溢れるパフォーマンスの「本意」を読みとっていくことが、禅問答解釈の醍醐味となります。

と記されています。一度きりの真剣なやりとりが、目にし耳にする者の心を動かし、そこから自分は何を得ていけるんだろう、、と試行錯誤させるのでしょうね。

4047034630禅問答入門 (角川選書)
石井 清純
角川学芸出版 2010-05-25

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夜がはじまるとき

4167705826夜がはじまるとき (文春文庫)
Stephen King
文藝春秋 2010-01-08

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はいー、和訳キング最新の短編集です。6編納められています。
ちょっぴりきゅんとする夫婦愛ものや、もうB級この上ないホラーなど。バラエティ富んでますね。

中でも冒頭の「N」は惹かれますね。ジョニーという精神科医が語り手の小説で、Nという名の患者を診た記録がその内容になっています。

Nは、物の数を数えたりしていないと落ち着かない、強迫神経症の患者。なぜ落ち着かないかというと、そうしていないと、得体の知れない闇の存在に地球が侵略されてしまうからだと信じ込んでいるのです。
ジョニーは診察をしつつも、そのNの妄想に興味を覚え、Nが「あそこにはぜったい行ってはいけない」と言う場所を訪れてしまいます。

そこでジョニーが見た光景とは。

その光景を見てしまったジョニーに降りかかる悪夢とは。

 
うーん、いかにもキングなホラーファンタジーです。長編と違って短い分、エッセンスが凝縮されている感じです。

そしてこの本。最後の解説に、なんと本好き女子マンガ『今日の早川さん』特別出張版が。
ホラー好きキャラの帆掛さんが主人公の早川さんにキングのオススメ「とくに怖い3作品」を教えるのですが、それが『呪われた町』と『シャイニング』と『ペット・セマタリー』
おお、これ、私もほんとうにその通りだと思うよ!

私、なんとなくこのマンガの存在知ってましたが、こんなのとは知りませんでした。おもしろいよ。

クリスティを読む2号

4151300805そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
Agatha Christie
早川書房 2003-10

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弟がクリスティをいっぱい持っていて、高校のころ借りてよく読んでました。
中でもいちばんびっくりしたのはこれですね。好き、、なのは他にもあるけど、これは異色で一読して忘れがたい。クリスティの最高傑作と評価する人もあるんじゃないかな。

見知らぬ人から無人島に招待されて行った人たち。そこには、それぞれお互い見知らぬ10人だけの集まりでした。
そろって食事をしているとき、広間のスピーカーから、その10人たちの過去の犯罪を暴露する声が聞こえてきたのです。
みんな大パニック。そして、部屋に貼られたマザーグース「そして誰もいなくなった」の歌詞通りに、10人がひとりひとり殺されていくのです・・。

うーん、『名探偵コナン』ではないですよ(笑)
でも、こういうケレン見あふれるのは良いですよね。ハデであり得ない設定なのに、登場人物がどんどん疑心暗鬼になって、不安にはまり込む描き方がみごとなのですね。クリスティうまいんだよなー。

 
さて、じつはこの小説、このところ2号が読んでいたのです。
そして、彼が読みながら取っていたメモの内容がこれ。

1 最後に死ぬ人が犯人ではない
2 招待主のオーエン夫妻はもう殺されている
3 ロジャース夫妻(客の世話役)も犯人ではない
4 確実に死んだかわからない人が怪しい
  ~死体を見たわけではない 崖から飛び降りたなど
5 この人ではないなと思う人が怪しい
6 犯人は誰かとぐるになっている

うーむ。。
親バカですが、こいつかしこいな(笑)
っていうか、ミステリ慣れしてやがるな。

最後まで私は犯人がわからず、最後のあたりはドキドキしましたね。
2号も犯人外したようです。しかし、自分が昔読んでいたものを、子どもがまた読んでるってのは感慨深いものありますね。

如月に読む本

おお、あっという間に2月。まだまだ今月は寒さが残るかな。昼間におひさまが照ると、けっこう暖かいんですけどね。

お参りのついでに、教区のお寺に披露(新住職就任のあいさつ)に回ったり、各種書類を用意したり、合間にお葬式があったり他方面との折衝があったり、、といった毎日です。
なんだか気ぜわしいのは変わりませんが、今日の午後はやっと一息ついた感じであります。

それでも(いちおう)活字中毒ゆえ、本は手放せないんだよなー。
最近まで読んでいたのは、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ
東大の歴史学者が、歴史クラブの高校生に講義したものがその内容です。
日清戦争から日露戦争、第一次世界大戦から満州事変、日中戦争をへて太平洋戦争まで。およそ50年間というわずかな期間に、これだけの戦争があいついで起きたのはなぜなのか。
とってもスリリングですね。大上段から反戦を訴えているわけではありませんし、また歴史への評価もさまざま存在するトコロでしょうが、戦争を起こさないようにするために、こういう徹底して冷徹な視線が必要なのだとわかる本です。

で、これから読もうとしているのは、『ミレニアム
打って変わって、ハードボイルドなミステリーみたいです。
スウェーデンが舞台というので、なかなか珍しいですね。ヨーロッパを始め、各国でベストセラーになっているそうで。うーむ、なかなか楽しみです。

太宰の『津軽』

4101006040津軽 (新潮文庫)
新潮社 1951-08

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初めてまともに読んだ太宰がこれっていうのは、詳しい方はどうお感じになるのでしょうか?
いやいや、とてもおもしろかったです。

東京に出て作家として成功した太宰が、風土記の執筆を依頼され、久々に生地を訪れます。その津軽周遊のなかで、彼が見たり感じたりしたことが書かれた作品です。
とはいえ、ほとんどが旧友と酒を飲んで酔っぱらいながらの雑談が主かな。それが、ちゃんと読ませる本になるのですから、いや、やはり太宰すごいなと言うべきなのでしょうか。

 
クライマックスは、なんと言っても乳母の「たけ」に、30年ぶりで出会うくだりです。文庫で実質200ページあまりのなか、このエピソードは最後の10ページくらいしかありません。
しかし、ここがあるから、『津軽』の高い人気があるのでしょうね。あとの190ページ分は、正直長ーい前振りに過ぎないのでは、、とは、言い過ぎでしょうか。

たけを探し回るとき太宰の心中は、懐かしさと恥ずかしさが相まっているのでしょうね。太宰はもちろん、読んでいる私たちの心拍数を上げるような文章はみごとです。
そして、ついにたけとの再会。最初はぎこちなく、あとは堰を切ったように、、うーん、愛だ(笑)

ここだけは、私も昔どこかで読んだ記憶があります。ただ、たけと会うところはフィクションらしいですね。太宰、やっぱり愛の作家なのだなー。

二重洗脳

4492043470二重洗脳―依存症の謎を解く
東洋経済新報社 2009-09-18

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どこかで勧められていたこの本、、なんとも扇情的なタイトルですね。これは、ニコチンなどの依存症に苦しんでいる人は、脳が「二重の洗脳」に絡め取られている、、という意味です。

その「二重」とは、、

ひとつは「間違った期待」
ニコチン中毒で言えば、タバコが自分のストレス解消のもとであり、安らぎのもとであると思ってしまうこと。
タバコが解消できるのはその人のストレスではなく、ニコチンへの渇望だけなのです。

もうひとつは「間違った恐怖」
依存によって神経が弱り、ストレス対処能力が落ちていることに気づかず、タバコなしではこのストレスに耐えられずたいへんなことになる、、という恐怖を感じてしまうものです。

もしニコチンがストレス対処能力を向上させることに優れていたら、タバコを吸う人はすべてストレスのない生活を満喫し、吸わない人は不満が溜まりまくっていることになります。もちろん、それが間違いだとみんなわかると思いますが、中毒になっていると、それすら気づかない恐れがあるというわけです。

 
この二重洗脳の罠に引っかかると、そこから逃れようとしても中々難しい。自分がその罠に引っかかっているとわからず、やみくもに努力してしまう傾向があるからだそうです。
そしていちばん怖いのは、依存からの脱却が失敗したとき、どうして自分はダメなんだ、、と落ち込んでしまうことなのですね。

そこをどう乗り越えるかというと、「自分で変えられるもの」と、「自分では変えられないもの」をかしこく見分けることが大事なんだと書かれています。
「変えられないもの」とは、人間の力の及ばないもの。ストレスの原因が、たとえばホルモンの異常だったりする場合、それは自分の力では変えられません。
「変えられるもの」とは、たとえばストレスへの対処方法。ニコチンへの依存から、別の、健康を害さないものへと変えていくことは可能なのです。

 
そして、この「変えられるもの」と「変えられないもの」の区別は、とても仏教的に読めますね。
また、二重洗脳から逃れる方法について、単に心理的なことがらにとどまらず、規則正しい日常を送るたいせつさも説かれています。著者もこの本の中でかなり仏教に言及していますが、身心ともに整えようとする気持ちは、私たちがより良く生きようとするとき、共通するポイントなのかも知れません。

大人の科学

ああ、ひさびさにリアル本屋さん行ったら、ついつい衝動買いしてしまった・・。

マイコン、、って、なつかしいフレーズだ。ちょうど中学のとき、機械好きの同級生に連れられて大阪の日本橋に見に行きました。こういうヤツだったかなぁ・・。

じっさいにコンピュータ初めて買ったのは、その15年後。Windowsのバージョンは3.1で、まだ「インターネット」ではなく「パソコン通信」だったよ。

 

などと懐かしがってたら、子どもに取られちゃったよ。。

倒壊する巨塔

倒壊する巨塔〈上〉―アルカイダと「9・11」への道 倒壊する巨塔〈下〉―アルカイダと「9・11」への道

今でもアフガニスタンやパキスタンでの暗いニュースが流れていますが、世界がこういうことに目を向けるようになった、決定的なできごとがこの9.11であったのでしょう。
この本は、アメリカ人ジャーナリストが、各方面に綿密な取材を行い完成させたドキュメンタリーで、ピューリッツァ賞も受賞しています。すごくおもしろくて一気に読ませます。

 
まず、第2次大戦後、エジプトからアメリカに渡ったサイイド・クトゥブという作家の話しから始まります。
彼は、当初アメリカの掲げる理想に大きな魅力を感じていましたが、次第にユダヤ人社会を擁護する態度に激怒していきます。あわせて、イスラム社会が西欧化され、どんどん世俗化していく姿にも焦りを感じていくのです。

クトゥブは、慎み深く、敬虔な信仰生活を送る理想的なムスリム(イスラム信仰者)が、(彼が考えるところの)西欧の刹那的で享楽的な消費社会に毒されていくのに耐えられなかったようです。イスラムは、政治や経済活動、つまり社会全体を包むシステムとしての面が強く、その意味で単なる宗教にとどまらないからです。
その怒りは、最初は、そういう文化を受け入れる自国(や、他アラブ諸国)の政府に向けられていました。しかし、時代を経るにつれ、クトゥブの影響を受けた者たちは、「諸悪の根源としてのアメリカ」という視点を持っていくのです。

 
そこには産油国として、地球上もっとも裕福な人たちと、社会の底辺で苦しむ人たちのどうしようもない格差もあったと思われます。
現実のアラブ社会に幻滅した者たちは、鬱屈した不安と不満によって祖国に背を向け、イスラム復興という看板のもと、巧みな殉教への誘いによって、テロリズムという恐怖を生み出すに至りました。そこにはタクフィールという、無信仰者(この場合は、自分たちの主張するイスラム復興に賛成しない者)は殺してもいい、というゆがんだイスラム解釈もありました。

そしてその頂点が、サウジアラビアのおぼっちゃまだったウサマ・ビンラディンと、エジプトの静かな天才児だったアイマン・ザワヒリが作った「アルカイダ」だったのでしょうね。

一見宗教による戦争に見えながら、(その面がゼロではないにしても)その根底には貧困と格差が横たわっている、、ということを思い出します。別のところで見た、あらゆる戦争のほんとうの原因には貧困がある、という主張には、やはり説得力があります。

 
対するアメリカの方に目を向けると、そこには、警察機関であるFBIと、諜報機関であるCIAとの激しい縄張り争いが悲劇を招いた、という見方がされています。秘密情報の取り合いです。
私の勝手な想像で言うと、FBIの理想は逮捕で、情報を証拠として起訴しようとする。CIAの理想は籠絡で、情報が表に出たら活動ができなくなってしまう、、のかな。

そんなエピソードがどんどん出てきて、読んでいるうちはスリリングなんですけど、、はぁ、読んだ後はなんだかため息が出ます。ノンフィクションですからね・・。

悪霊の島

悪霊の島 上 悪霊の島 下

 
さてさてスティーヴン・キングの新作長編です。
帯には「恐怖の帝王、堂々の帰還」という惹句が。久々の長編恐怖小説ですね。

 
一代で富を得た建築会社社長のエドガー。彼は不慮の事故で右腕を失い、精神的にも不安定な生活を余儀なくされていました。
臨床心理士の勧めに従い、彼はフロリダの孤島にひとり移り住みます。そこで彼は不思議なパワーを持つ絵を描き始めますが、それには、海に太古より巣くう凶悪な存在の招きがあったのです。

 
私が勝手にキング最高傑作とする『シャイニング』に似て、邪悪な幽霊に生命を脅かされる物語ですね。
『シャイニング』は、舞台が真冬の大雪に閉ざされたホテル内だけなのに対し、こちらは暑い春のフロリダで、砂浜や海もふくめた開かれた舞台という違いはあります。

絵の素人だったエドガーが、何かに憑かれたように描きまくる絵画がストーリーのポイントですね。それは悪霊が描かしめたものであり、その絵を通じて、エドガーやその家族、または友人たちに次々と危害が及んでいくわけです。
最愛の娘まで殺され、ふつうなら失意のどん底から這い上がることも困難かと思うのですが、強靱な意志と頼もしい仲間の手助けもあって、彼は悪霊に対抗していきます。

 
うーん、やっぱりキングはこういう話しの方がいいね(笑)

恐ろしい超自然存在が出てくるのは、『シャイニング』や『呪われた町』や『ペット・セマタリー』などの傑作群とおなじ。ただ、上記3作品のように心底怖いというよりは、どちらかというとじわじわ来るよう。「ホラーはファンタジーの一種」と言われるけど、今作品も怖いめのファンタジーを読んでいる感はありますね。
キングの芸術観に触れられたり、最後にはちょっとほろ苦いエピソードもあったりして、巨匠健在をまざまざと見せられました。

次はさらに長編の『ドームのもとで』発売を待ちますー。

夕暮れをすぎて

4167705788夕暮れをすぎて (文春文庫)
Stephen King
文藝春秋 2009-09-04

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キング久々の短編集です。中編ほどの長さからごく短い小品まで、7編が納められています。
キングの真骨頂はやはり長編にあるものとは思いますが、短編も捨てがたい、、というか、短編にしかない強い魅力も感じますね。

 
たとえば、この3つが印象に残りました。

愛娘を亡くし、しかも離婚係争中の主人公女性が、父親の別荘に移り住んでから出会ってしまった悪質な犯罪の罠 『ジンジャーブレッド・ガール』
わりと往年のキング節でしょうか。サイコな殺人者と、強ーい女性との戦いです。

高いコレステロール値を指摘され、ダイエットを決意したイラストレーター。ところがエアロバイクに乗るたび催眠状態に襲われます 『エアロバイク』
B級キングの面目躍如ですね。過ぎたるは及ばざるがごとし、という話しです。

9.11の日、たまたまワールドトレードセンタービルにある職場に行かなかった主人公。彼のもとに、テロで亡くなった元同僚が使っていた持ちものが現れます。『彼らが残したもの』
あのテロ事件にキングが言及する、これは特筆すべき作品だと思います。内容は『アトランティスのこころ』を思わせるような、きゅんとする物語です。

 
長編にあるような壮大なテーマこそ見られませんが、その場の状況を丹念に追うその筆致には圧倒されますね。キング健在を印象づけて、ファンとしてはうれしいですー。
このあとは長編がひとつ、その後、この短編集の後半部が日本で刊行される予定です。さらに今秋には、アメリカでかなり大部の作品が発表されるそうで、まだまだ楽しませてもらえますー。

娘と映画をみて話す 民族問題ってなに?

ちょうど2年前の今日、旧ブログで紹介していた本です。
9.11から8年。アメリカ大統領も替わり、状況の変化もあることでしょうね。ただ、こういうところで描かれている「根っこの問題」みたいなものは、いつまでも私たちを試そうとするのだろうな、、とは思います。。

 

4773807059娘と映画をみて話す 民族問題ってなに?
現代企画室 2007-06

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ハワイで生まれ、日本とアメリカの2つの国籍を持つ高校生・ナニが、社会学者の父親(日本人)と民族問題をテーマにした7つの映画(『クラッシュ』とか『ホテル・ルワンダ』とか)を見て話し合う・・という内容です。

ここでは、「民族(生活や言葉、文化を同じくするもの)」が歴史の上で最初から存在するのではなく、「私たちはひとつの民族だという考え・スローガン」に後追いの形で、文化や生活が統一されていった・・という考えが紹介されています。
現在当然のように思われている「民族の区別」は、じつは時代によって変わりうるあやふやなものであるわけです。民族どうしの対立も、じつは政治に作られた面があるのではないか・・ということを示唆しているようです。

そこからたとえば、「民族問題」というのは、独裁を目指すある人物にとって、敵対するグループをやっつけるための、兵士の動員に役立つ「アジテーション道具」だという指摘もされています。
なので、「民族問題」とは言わば戦争への起爆剤に過ぎず、その裏には、たとえば人口増による貧困といった「戦争の本当の遠因」が横たわっていることを忘れてはいけない・・のだそうです。

 
こう言われると、たとえばイラクやアフガニスタンの問題においても、「民族」や「宗教」すら表向きの理由なのではないかと考えてしまいます。
貧困というのは、大きな大きな問題なのですね。そこから来る絶望を、人間はいつか克服することができるようになるのでしょうか・・。

ヒロシマを描くマンガ

さてヒロシマの日でございます。
昨日、原爆投下が正しいことだったという世論が、アメリカでは6割を超えている、、というニュースを目にしました。いや、こんなに高いとは思いもよりませんでしたね。

こういうことを考えるとき、私はなんとなく「正しいか正しくないか」よりも、「善か悪か」と思ってしまいます。ちょっとニュアンス変わってしまうかな。。
しかし、戦争がもたらす全体像は、もっと複雑なはず。早々に結論づけて思考停止し、他を排除してしまっては、かえって平和への前進も滞るかも。「何が正しいか。または何が善なのか」を考えてみることもたいせつなのでしょう。

 
さてさて、ヒロシマといえば、マンガ家こうの史代さんです。これは、『この世界の片隅に』という3巻ものです。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)  この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)  この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

 
前にも『夕凪の街 桜の国』という作品をご紹介したことがありますが、こちらも原爆前後の広島周辺を舞台にした物語です。おなじく、重い現実を淡々としたタッチで、とぼけたおかしみも交えながら描いておられます。
作者はあとがきで、「戦時の生活がだらだら続く様子を描く事にし、、幾つも転がっていた筈の誰かの生の悲しみやきらめきを知ろうとした」と書いています。そのとおり、ほぼ初対面で結婚した、北条すずと周作と、そのまわりの人たちの笑いと涙が中心となっています。
2人の恋愛感情が軸になり、いろいろな人と、ここで別れたらもう2度と会えないかもしれん、、という切迫した気持ちが、戦時の高揚感と相まって真に迫りますね。

ここには「何が正しいか、何が善か」という答えはなく、ただ翻弄されつつも生き続ける人たちの姿だけがあります。
残された者が、お互い居場所を作りあい、新しい記憶を積んでいく。。そんな中で、何か見つかったりすることがあるのでしょうか。それとも、それもやはり「風に吹かれている」ものなのでしょうか。。

私はマンガ読み

リアル本屋で買った2冊。読んでたらすげーおもしろいので、こんな時間になっちゃいましたわ。
次の目標は30日発売の『PLUTO』8巻目。
今日はシゴトも息抜きも、少しだけガンバりました。ではまた明日//

どうなる豚インフルエンザ

あっという間に世界を席巻した「豚インフルエンザニュース」 WHOが警戒レベルを上げているわけで、なかなか予断を許しませんね。このインフルエンザがどこまで怖いのか、まだはっきりとわかっていないようですが、死者が出ているのは事実ですから・・。
ただ、たとえば豚肉を食べるのはまったく大丈夫のようですし、よく見る不織布マスクや、うがい、手洗いが非常に有効な予防策であることは間違いないでしょう。根拠の確実な報道を見て、冷静に対応したいところです。ご参照 → たとえばこちら

 
ああしかし、ウイルスとは不気味で怖いですね。電子顕微鏡でしか見られないほどの小さなものが、たくさんの人間の命を奪う可能性があるわけですから・・。

 
先日、生物学を専門とする福岡伸一青山学院大学教授の『生物と無生物のあいだ』という著書を読みました。
その本の大きなテーマは「生命とは何か?」という大きなもので、そこを考えるヒントとして「ウイルスは生命か否か?」という提示がありました。

ウイルスはどちらかというと幾何学的な構成で、同種のウイルスはまったくおなじ大きさと形を持ち、栄養を摂取せず、呼吸もせず、一切の代謝を行わず、ふつうの細胞(つまり「生命」)ではできない「結晶化」が可能なのだそうです。その意味では、生命とはちょっと違うのかな、、という感じもします。
ところが、ウイルスはDNAを持っています。生命の最たる特徴である「自己複製」をするわけです。ただし単独では何もできず、他の細胞に寄生してDNAを植え付け、その宿主細胞にウイルスを複製させ続けるのです。ちょっと、、気持ち悪い話ですね。

あいだの説明をはしょって恐縮ですが、著者は現時点ではウイルスを生命とは定義づけない、と結論づけています。
それにしても、いずれにせよなんとも不思議なものではあります。今回のインフルエンザも、はやく収束してほしいです。

4061498916生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社 2007-05-18

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ミステリー作家 エラリー・クイーン

偉大なるミステリー作家たち」というNHK-BSの番組で、エラリー・クイーンを特集しているのを見ました。石坂浩二が司会で、クイーンの生涯や作品を紹介しながらクイズを出し、ミステリー好きの学生さんが答えを考える、、という趣向でした。

クイーンは好きで、、ミステリー作家ではいちばん好きですね。よく読んでいたのは高校生のころなので、そういう懐かしさもあるかな。

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罪と罰

罪と罰〈上〉 (岩波文庫) 罪と罰〈中〉 (岩波文庫) 罪と罰〈下〉 (岩波文庫)

えーと、ドストエフスキー作品です。

ううーん、しかし『罪と罰』なんて、、それだけで恐れ入ってしまうタイトルですよね。タイトル負けしてしまう方も、もしかしたらいらっしゃるんじゃないかしら。。

・・などと余計な心配もしつつページをめくっていったわけですが、これがまたおもしろくておもしろくて止まりません。
主人公はラスコーリニコフという元学生。彼はかなり頭が良く弁も立つ、母親や妹のことをつねに心配する優しい男です。しかし、神経質な面が目立ち、他人に対しては不遜で傲慢な態度を見せて反感を買いやすいタイプのようです。

話は、そのラスコーリニコフが、強欲な悪徳金貸しの老婆(と、その善良な妹)を殺害する事件が軸となっています。
読者は犯人がわかっていますので、殺人による達成感と後悔の相反する感情が真に迫ってきます。「コロンボ」や、「古畑任三郎」とおなじ見せ方です。
とくにラスコーリニコフと、彼を犯人だとにらむ敏腕判事ポルフィーリイとの丁々発止の対話は、物語中いちばんスリリングな場面ですね。ヘタな推理小説なんて吹っ飛んでしまいますよ。

また、もちろんすべての登場人物がひと癖ある者ばかり。ラスコーリニコフの妹ドゥーニャと、彼女に邪な好意を寄せる女たらしスヴィドリガイロフとの、最後のやりとりなんて震えがきちゃうくらい。ヘタな恋愛小説なんて吹っ飛んでしまいますよ。

 
ラスコーリニコフという人間をどう思うか、、というのは人によって違うでしょうか。私は、その激しやすい性格に正直ちょっとイライラしてしまいますね。
生きていては周囲に害になるばかりの老婆を殺すのは、選ばれた人間にとっては罪とならない、、とのリクツは、たとえば『デスノート』や、オウム真理教における「ポア」の理論につながる、決して許されない行為ですし。作家の平野啓一郎が新聞のインタビューで、「殺された被害者の家族や知人の悲しみが出てこないところに物足りなさを感じる。ここには殺すなというメッセージがない」と語っていましたが、それはたしかに言えていると感じました。
ただ、大きな動機のひとつでもある貧困に関しては、今の時代を見てもやりきれない思いで見てしまいます。

手塚が生まれて80年

一昨夜NHK-BSで放映された、プレミアム10「手塚治虫 漫画 音楽 そして人生」を見ました。

これは、今年が手塚の生誕80年にあたることから、NHKで1年間特集を組むにあたり、まずは音楽との関わりを重点とした特番が放映された、、ということのようです。

 
ここで手塚の偉業について、私に語る力はありませんが、とにかくあらためて驚いたのは、彼が60才という若さで亡くなっていることです。
膨大な仕事量と他の追随を許さない質の高さによって、マンガとアニメという日本の一文化を開拓し、完全に確立させた功績。それを、たったひとりの人間が、60年だけでなしえたのは信じがたいです。

中学生のころ、『ブラックジャック』から入った私ですが、手塚の描く曲線の美しさ、物語の凄みがわかるようになってきたのは、やっぱり大人になってから。『きりひと讃歌』とか、『火の鳥』あたりですね。

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「みんなの寺絵日記」が本になった

もう5年以上前になると思うのですが、「みんなの寺」というなんともそそるネーミングのHPを見つけました。浄土真宗本願寺派で得度を受けられた天野がりょうさんと、その奥さんであるわこうさんのお2人が、仙台であたらしくお寺(その名前が、ずばり「みんなの寺」です)を始められて過ごす日々をつづったサイトでした。

巨大なアクセス数。ここは2ちゃんねるか、、とも思われるほどの、莫大な書き込みでうまる掲示板。。
ちょうど私もHPを始めたころ。「おおー、こういうところに出没したら、その縁でうちを見てくれる人も増えるかな・・」という、なんともヨコシマな動機もあってぼちぼちと書き込みしたりし始めました。

ところがそこの魅力のいちばんは、じつはわこうさんが、MSペイントとマウスだけで描かれる絵日記であり、さいしょから私もとりつかれていたのです。

 
そして、このたび、その絵日記が、なんと本になって出版されることになりました。

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たら本 第47回「この作品をこの人の声で聴きたい」

ごぶさたしておりますたら本参加です。

主催は慧さんです。こちらもごぶさたいたしております。
今回はお題のとおり、作品を選んで、しかも、それをどなたに読んでいただくか、、まで考えねばなりません。
うーん、でも、ある程度誰でもご存じの方でないといけないですよね。うちのとなりに住むおばちゃん、、なんて書いても「誰やねんそれ!」 この前テレビで見た、うちの弟に似てるおっさん、、なんて書いても「だから誰やねん!」ですしね(笑)

さてさて、そんなうわごとは放っておきまして作品選びでありますが、ここはやはり慧さんに敬意を表してキングさんで。

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プチ修行

4344409868プチ修行 (幻冬舎文庫)
小栗 左多里
幻冬舎 2007-08

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『ダーリンは外国人』でおなじみの漫画家、小栗左多里(おぐりさおり)さんが、何となく「足りてない」と感じる自分を見つめ直し、何ごとにも動じない幸せな人間になりたい・・と思って、いろんな「修行体験」をしてはレポする、という企画の本です。

行かれたのは、(ヴィッパナサー)瞑想、写経、坐禅(臨済も曹洞も)、滝行、断食、四国遍路、、そして(これは修行というより精神療法でしょうか)内観。
みずから信用できそうなところを迷いながら探し、ときに友人と、ときにお一人で、まさに体当たりして感じたことを、忌憚のない意見とともに書かれているのです。ホントに坊さんになるにも、「師を探す」ことの重要さが言われますが、こういう「プチ体験」でも、探すという最初の敷居は高いんだろうな・・と思ってしまいますね。

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13歳からの「いのちの授業」

13歳からの「いのちの授業」―ホスピス医が教える、どんな時でも「生きる支え」を見つけるヒント

これはホスピス医が自らの経験と信念をもとに、「生きる支えを見つけるヒント」を、中学生にもわかるようなやさしい話の展開で見せてくれる本です。
健康であれば気にすることのない、自分の人生の終わりを身を切られるように感じる、、それがホスピスの現場なのでしょう。だからこそホスピスから、「生きる支えを見つけるヒント」が見つかりやすいと言えるのかも知れません。


仏教では「人生は苦である」というスタートから、「苦でありながら、楽を得るにはどうすればよいか」を考え実践していきます。
ここでの「苦」は、「楽あれば苦あり」といった相対的なものではなく、人生とは、ズバリ思い通りにならない不条理なものなのだということを指し、その例として、「老い、病い、死」をあげています。

この本では、あくまでお医者さんの目から見た「生きる支えを見つけるヒント」が書かれていますが、その内容はまさに仏教的と言って差し支えなく、上記のような視点が含まれていると思います。
ホスピスには、ガンやエイズの末期において、負担の大きい延命治療より、残り少ない時間をより有意義に過ごしたい意志を持つ人があつまってこられます。そこには、「どうして、こんな苦しみに遭うのが、他人ではなく自分なんだ」という思いがあります。そして、それは仏教で言う「苦」に他なりません。


筆者は「生きる支え」を、3つの柱で例えています。
1つめは時間の柱で、これは、たとえば将来の夢です。
2つめは関係の柱で、たとえば、誰々がいるから生きられる、、という気持ちです。
3つめは自律の柱で、自分がすることの選択を、自分で決められることです。

「苦」から解放されるには、まずはその柱を安定させる。もし1つの柱が折れそうだったら、他の2本を太くすることを意識してカバーする。
これがここで言う「楽を得る」実践というわけですね。私が仏教的だなぁ、、と思うのは、いずれも「苦から学ぼう」という姿勢があることです。「限りがあるからこそ輝ける」という見方かな。


筆者は、「みんないのちは大切だと思っていても、どうして誰かを傷つけることがあるんだろう」と問いかけ、「その人の苦しみがあまりに大きく、誰かを傷つけずにはいられなくなってしまったからではないか」と仮定し、「どんなに苦しくても、誰も傷つけないで生きていく方法」を考える必要がある、と投げかけています。

苦しくても、人を傷つけないで生きられる人、、そんな人になりたいなあ。坊さんが言うとベタですが(笑)、お釈迦さまはそういう人だったんだろうなあ。

リーシーの物語

リーシーの物語 上 リーシーの物語 下

いやー読みました。現在のところ、和訳されたキングの最新本。いやー、時間かかった。

全米に名をとどろかす有名作家が病気で亡くなって2年。残された妻リーシーには、まだ死別の癒えない心の傷にくわえ、精神疾患(?)に病む長姉と、夫の未公開文章を執拗に付け狙う危険人物、、という問題があった。
遺品を整理するうち、自分のまわりに夫が残したメッセージが隠されていることに気づいた妻は、夫の戦慄すべき過去の秘密を知り、かつ、自分への愛情をふたたび知るようになった。。

という感じでしょうか。
上巻がね、なかなか進まなくて、正直そんなにおもしろいと思わなかったけど、下巻は一気に読ませますね。たぶん、ストーリーに対して、ちょっと文章長すぎるかも。。

舞台は2つあって、日常の世界と、『タリスマン』の「テリトリー」を思わせる異世界。そこは善も悪も、幸も不幸も、日常のレベルを超えて極端なことが起こるようなところです。いかにもキングの舞台設定ですね。
ここでの異世界、、というのは何かの象徴だと思うのですが、人生で起こりうる不条理な不幸や、逆にどんな傷も癒す生命の力、、みたいなものかな。亡き夫は子どものころからそこへ行き来し、つらい日常からの逃げ場にしていたようです。リーシーは、初めは夫の力を借りて、後には自力で訪れ、夫との信頼関係をさらに固いものにしていきます。
その異世界の力を使って、リーシーは現実に起きているトラブルを解決しようとしますが、最後には日常の世界に戻ってきます。そこが、読んでいてほっとさせます。

リーシーにとって、その異世界での経験は、夫との思い出がこれから生きていく勇気へと変わるきっかけだったのでしょう。そういう意味では、夫の死という不幸を乗り越えていこうとする女性の物語と言えますね。

こつこつですね

ムスコズは無事、通信簿をもらって帰ってきました。
それぞれ評価の上下はありましたが、先生の総評では、少しずつ自分で考え、こつこつと自分の力にできているとのお言葉が・・。親はこういうのに弱いです(笑)

いずれにしても、勉強は日々こつこつの積み重ねですね・・。

さて、そんな積み重ねが一気に花ひらいた感もあるノーベル賞受賞のニュース。なんと数十年前の業績が評価されてのことなんですよね。
研究一筋にこられた、そのご姿勢にはやはり敬意です。受賞者ご自身による、「社会のおまつり」というコメントもございましたが、我々のようなものは、こういう機会でもないとその凄さに触れることはできませんし・・。

ところで、以前から文学賞をいずれ取るであろう、、と言われている村上春樹。今のうちにと思って、やっと、ついに、注文してしまいました。
ハイ、まずは『ノルウェイの森』からいきます。
あ、でも読むのは、、、年内かな。。

20世紀少年

見ましたー、映画でー。
いちおう原作を先に読んでるので、かなり安心して見てました。原作はホントおもしろくて引きこまれるけど、映画になってどうだー? ってとこでしょうか。しかしなんとも豪華な豪華な出演者陣。その顔を見に行くだけでも、まあいいかもですね。
映画公式サイト、こちらです。

20世紀末。主人公遠藤ケンヂ(映画は唐沢寿明)は、ロックミュージシャンの夢をあきらめた、今はしがないコンビニ店長。
子どものころ、彼は仲の良い友人たちと原っぱに「秘密基地」を作り、毎日そこで遊んでいた。大人になったケンヂのまわりでは、不可解な失踪や殺人が相次ぐが、そこにはあるカルト教団の存在が見え隠れする。その教祖"ともだち"の、指と目をあしらったデザインのシンボルは、なんとケンヂたちが「秘密基地」で考えたものとまったくいっしょ。さらに、おなじシンボルを持つ政党「友民党」が圧倒的支持で日本の政権を握る。

そして、爆破テロや細菌テロを思わせる事件が世界を席巻しはじめた。それは、かつてケンヂたちが秘密基地で考えた、世界征服のシナリオをそっくりなぞるものだった・・

・・というストーリー。"ともだち"は誰なのか、、あのときいっしょに遊んだ仲間なのか、、という謎解きがスリリングですね。

では、以下は原作をふくめて長文ネタバレ記事になります。未見・未読でこれからご覧になろうという方は、どうかご注意を・・。"ともだち"の正体にも言及しますので・・。

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エリック・クラプトン自伝

4872578864エリック・クラプトン自伝
中江 昌彦
イースト・プレス 2008-04

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ブルース~ロック・ギタリストとして超一流の評価を受け続けるエリック・クラプトンの、半生をみずから語った自叙伝です。じつはそんなに詳しくない(つまり大ファンではない)のですが、さすがに自伝となると興味を持って読みました。
ヤードバーズからクリームを経て、長いソロ期間へ。その間に出会って共演した、数々の有名ミュージシャン。それぞれのエピソードが、率直な感情でもって紹介されています。

ヤードバーズは一時しのぎだったこと(笑)。クリームにスティーヴ・ウィンウッドを入れて4人編成にしたかったこと。クリームの自信作がジミ・ヘンドリックスほどの評価を得られず落ち込んだこと。ジョン・レノンは「(悪い意味で)とんでもないことをやりかね」なく、目を光らせている必要があったこと等々。
自身のプレイに関してはあっさりと書かれているため、音楽的なことよりも、彼をめぐる人たちとの関わりが目立ちます。

とくに有名なのは、ジョージ・ハリスンの奥さんだったパティを「横取り」する話でしょう。
ジョージとパティは冷めた関係ではあったものの、いざこういう事態になるといかに「親友同士」といえどもぎくしゃくはするでしょうね。その点も正直に語られています。
しかし、いちばん大きくさかれているのは、じつはドラッグやアルコール中毒の苦しみと、そこからの復帰にいたることです。これは経験のないものにも、真に迫る迫力がありますね。クラプトン、よくここまで帰ってこられたものです・・。


帯には「過酷で数奇な音楽人生を赤裸々に語った」との言葉が。
自分が「神」とまで評価されることへの恐れと、自分が愛するブルース普及のために、そういう騒ぎも利用してやろうというしたたかさと。音楽だけしか知らなかった彼の、そういう奥深さと、退廃に流れてしまう芸術家の顔とが交互に見え、世の中には本当にこういう人がいるんだなぁ、、という驚異すら感じましたデス。

キング本出てます

今月はじめ、文春文庫から『シャイニング』と、『ミザリー』の新装本が出ました。

『ミザリー』は、ある作家が狂信的なファンの女性に監禁され、言うとおりの小説を書くよう迫られる話です。映画(未見ですが)ではキャシー・ベイツが怪演しているんですね。キングも、じつはキャシーを念頭に置いて執筆したというエピソードも聞いたことがあります。

『シャイニング』は幽霊屋敷もの。個人的にいちばん好きなキングの作品です。
幽霊に翻弄される主人公がじわじわ狂っていくさまが見事に描かれていて、キングの表現ここにあり、、っていう小説ですね。
これも映画になってますね。スタンリー・キューブリックと、ジャック・ニコルソンの最恐(?)コンビでした。

もちろん旧版も持っていますが、まあファンとしてはやっぱり買ってしまいます。
『シャイニング』の帯、こうやって並べると「史上最強の圧倒的恐怖」「幽霊屋敷がやってくる」となって、こっちの読み方の方が怖そうに思えますわ(笑)


そして、あわせて新刊も出ました。『リーシーの物語』です。
有名作家である夫を、2年前に亡くしたリーシー。彼女は遺品を整理するうち、夫が残していたあるメッセージに気づく・・・といった展開のようですね。文庫ではなくてハードカバー。気合入っているのでしょうか。
前作の『セル』はけっこうおもしろかったので、今回もなんか期待しちゃいますわー。

風が強く吹いている

4104541044風が強く吹いている
三浦 しをん
新潮社 2006-09-21

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以前の記事ワルツさんに教えていただいたこの本、もうね、すっっごいおもしろかった。一気に読んだ。さすがワルツさん、ハズレないわ。

高校の陸上部で故障して、走ることを諦めかけた清瀬灰二(きよせはいじ)。大学に入って竹青荘というボロアパートに住むようになった彼は、4年の時、新入生として入ってきた蔵原走(くらはらかける)の走る姿に衝撃を受ける。走もまた、超高校級の力を持ちながら、顧問を殴って退部したという挫折があった。
走という「宝物」を得た灰二は、ほかに8人いる竹青荘の住人をたきつけ、自身の夢であった箱根駅伝に出場するという、無謀な挑戦をはじめた。

・・というのが大まかなストーリー。灰二と走以外は陸上の素人。しかし、それぞれスポーツの経験があり、性格的にも長距離に向いていると灰二は感じ、鍛えることになったのです。

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たら本 第43回「音とリズムの文学散歩」


たら本、久々の参加ですね・・。
しかも、かなり遅いエントリーで恐縮です。3ヶ月たってます(笑)

というわけで、picoさんの回に、まず参加です。

●小説に登場した心を捉えて離さない音楽
●または小説の世界に興味を抱き実際に聴いてみた音楽
●好みの音楽が登場して親近感が沸いた小説
●小説に登場する気になる音とリズム、オノマトペ
●文体のリズムが踊り小説自体がすでに音楽と化している
●小説に感化され楽器(音楽)をはじめたくなった

などなど、音楽を感じ音楽を抱きしめた文学を教えてください。

音楽も本も大好きな私ですが、いかんせん入り込みが浅いのか、片方で両方をカバーしているなぁ、、、という感じはあまりなかったりするのですね(汗)

でも、、まあ最近読んだ中では唯一か。これはロックだな、いやいやパンクだな、いやいやテクノだな(じゃあいったい何やねん)、、、というのがこれであります。

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「ハタラク」トイウコト


「ほぼ日刊イトイ新聞」の特集が本になった『はたらきたい』を、最近読了しました。
(コーナーこちら

糸井重里が、人事のプロやフリーの仕事人、はては矢沢永吉にまでインタビューし、「人間にとって働くとは何なのか」ということを問うた本ですね。いちおう就職論と銘打ってますが、いわゆる面接のテクを伝授するわけではなく、人生論っぽい切り口で迫っています。

いちばん印象深いのは、人材紹介を手がける「面接のプロ」が言う、「面接で聞きたいのは、君が人生の中でいちばんたいせつにしてきたものは何? ということだけ」かな。
その質問に、目を輝かせて答えようとする姿勢を見せる人間なら、たとえ答えが拙くても、いい仲間になれそうだ、、と思うのだそうです。
私は就職活動していませんし、非常に限られたせまい世界で育ってきたせいか、こういう理想論的な言い回しには、とってもハッとさせられるのです。

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